半拍早い報告 ― 同じ仕事をしても評価が分かれる理由
会社員生活が長くなると、先輩という立場から後輩たちを見ていて「もったいないな」と思う瞬間がある。似たような仕事を、似たようなレベルでこなしているのに、終わったあとの評価は大きく分かれてしまうからだ。
その差は、気配りと半拍だと私は思っている。
仕事が遅れるのは誰でも同じ
ある仕事を任されたとき、それをいつごろ、どのくらいの労力で終わらせるべきかは、たいていすぐに見当がつく。受け取ってすぐ片づけられれば一番いいのだが、現実はそうはいかない。思ったより難しかったり、すでに抱えている別の仕事があったりする。
ここまでは誰でも同じ状況だ。差がつくのはまさにこの次からである。
「あの件、どうなってる?」と言わせてはいけない
仕事を振った上司から「あの件、どう進んでる?」と聞かれる瞬間が来てはいけない。
その質問がいつごろ飛んでくるかは、実は自分が一番よく分かっている。だったら、その言葉が出る直前に、半拍早く自分から言えばいい。
「部長、先日おっしゃっていた件ですが、今こういう状況で進んでいます。○○の理由で少し遅れていますが、○日までには仕上がる見込みです」
状況はまったく同じだ。仕事はまだ終わっていないし、遅れている。それなのに、このひと言だけで上司の頭の中には**「ちゃんと回っているな」**という絵が描かれる。
同じ仕事、正反対の評価
二人がした仕事の総量は同じ。なのに評価は正反対になる。
| 上司から先に聞かれた人 | 半拍早く自分から言った人 | |
|---|---|---|
| 実際にやった仕事 | 同じ | 同じ |
| 上司の印象 | 仕事を後回しにする人、面倒を見る必要がある人 | 自分でしっかり進められる人 |
| その後の関係 | 上司がずっと確認し続ける | 信頼して任せてもらえる |
一方は、上司が確認しないと動かない動きの鈍い人になり、もう一方は、ひと言を半拍早く言っただけで仕事をきちんと管理できる人になる。
私もそうだった
私も若いころはこれが分かっていなかった。分かっていても、やりたくなくて先延ばしにしているうちに、結局上司から「それ、いつまでにやるの?」と聞かれてしまう。
特にやりたくない仕事、難しい仕事ほどこうなりやすい。手をつけたくない仕事は報告するのも億劫で、報告を先延ばしにしているあいだに上司の質問のほうが先に届く。振り返ってみれば、その質問を受けた瞬間に、すでに評価は決まっていたのだと思う。
もうひとつ:期限は自分から言う
これにもうひとつ加えるなら、期限を自分で決めて先に伝えるのがいい。
「部長、その件は来週の月曜日までにお出しします」
こう言うと、二つのことが生まれる。
- 自分にはデッドラインができる。 自分で交わした約束だから、先延ばしにしにくい。
- 上司には「終わりのある待ち時間」ができる。 いつ出てくるか分からないものを待つのと、月曜に受け取ると分かっているものを待つのとでは、気持ちがまったく違う。
今日からできること
- 抱えている仕事の中から、上司に「あれ、どうなった?」と聞かれそうな案件を一つ思い浮かべてみよう。
- その質問が出る前に、ひと文で先に伝えてみよう。進捗+遅れている理由+完了予定日。
- 新しい仕事を受けたら、**「いつまでにお出しします」**を自分の口から先に言ってみよう。
もっとたくさん働けという話ではない。同じ仕事をしているなら、きちんと評価されようという話だ。その差は、大それた能力ではなく、半拍早いひと言から始まる。